盲信

盲信

2020年6月11日 0 投稿者: inukairyou

かなり昔のことです。
あるお寺の僧侶が信者の娘に「悪霊が取り憑いている」と称して、その女子中学生の父親と2人で彼女を縛ったうえ、滝壺に入れて溺死させた事件がありました。
本当にいたましい事件ですね。

この事件の報道の中で、実際にやった父親と僧侶の発言です。
「除霊のための滝行で暴行ではない」
「亡くなったのは本当の彼女ではなく憑いた悪霊」

第三者として冷静にこのニュースを聞くと異常だと感じますが、当の本人達は宗教を盲信することでその異常さに気付いていません。

この宗派の総本山側も…
・修業は願いを叶えるために自らすすんですることで、手足を縛りつけて強要するものではない。
・除霊なんて出来る訳が無い。
と言っています。

閉鎖的空間の中で絶対的な存在があり、それを盲信する人がいる。
その絶対者が間違った方向に向かっても誰も止めることが出来ない。
むしろ、その間違った行為を助長させていく。
そして取り返しのつかないことを引き起こしても自己弁護に徹し決して自らの非を認めない。

こうした「狂気の盲信」は宗教だけでなく、SMにおける主従関係にも見られます。

主従関係における盲信

SMという関係にも同様の危険があると感じています。

・ご主人様という存在とそれに従う従者
・危険を伴うSM的行為の数々
・性的興奮を伴う行為のエスカレーション

相互に愛情が深いほど、その関係は濃密になりますし「盲信」を生みやすい関係になっていくと考えています。

危険なことを我慢させられたり、怪我をしても言いだせない。
金銭や物を要求されたり、肉体的・精神的に無理な事を強要される。
それらを断れないのは愛情が絡んだ「盲信」があるからだと感じます。

第三者としてご相談を受けたりすると疑念を感じずにはいられません。

我慢する必要はない

・Mは我慢してSの要求に応えなければならない。
・このご主人様以上のご主人様には今後も出逢えない。

そういう間違った盲信が自らを危険に追い込んでいると思います。
更に、ご主人様の問題と思える点を盲信しているM女性に指摘すると
「ご主人様の悪口を言うなんて!」
と逆ギレされることも多いです。

そもそもSMというのは『性的嗜好』でしかありません。
その中で「主」「従」という役割を演じているにすぎず、元々は対等な人間同士なのです。

「危険なこと」「怪我をしたり傷を負ったりすること」「お金や物を渡すこと」で喜びを感じ性的に興奮するのであれば、それはそれでいいと思います。
ですが、このニュースの『滝行』と同じで「自ら望んでいない人」に強要するものではありません。

無理強い

問題なのは『愛情と盲信』を利用して無理強いすることなのです。

・「イヤよイヤよも好きのうち」と勘違いする自称S。
・縄酔いしないと不機嫌になる緊縛師。
・他のMと比較してNGのプレイを強要する。
・命令する形で金銭を要求するヒモのようなご主人様モドキ。

ここに受け手のMの『性的興奮』はないと思えるのです。
これでは「従」が搾取されるだけになってしまうのです。

それだけに冷静で客観的な判断が大切になってくると感じています。
自分の中での価値基準を持つことが大切だと考えています。

初心忘るべからず

残念ながら、人間は慣れてしまう生き物です。
新入社員が会社に入って「この会社のここが変だ」「これは違法行為だ」と感じても、その環境に慣れてしまうと「当然」と感じるようになってしまいます。

主従関係も同じようなことがあります。
「この男性の言っていることは変だ」と感じても、主従になったり愛情を持ったりすると、それを当然と感じるようになってしまいます。
それがエスカレートしていき、搾取されることに「慣れてしまう」のです。

女性には「主従を結ぶ前の感覚」というものを忘れないでいて欲しいのです。
主従関係になる前の「対等な関係」だった時の感覚を覚えておいて欲しいのです。
そして、主従関係を続けていくうえで「つらい」「苦しい」と感じたら、初心に立ち返って欲しいと思うのです。

まとめ

SMは性的な嗜好でしかありません。
主従関係も絶対的な関係ではなく、あくまでも性的嗜好を満たすための相対的な関係です。
ですので、盲信して従う必要はありません。
まして、その盲信を利用して主側が従側から搾取してはならないのです。

そもそも、主従とはいえ、関係性は対等な人間同士なのです。
その中で、性的嗜好を満たすために「主」と「従」という役割を演じているにすぎないのです。
それを「絶対的な関係」と勘違いして盲信する必要はないのです。

従者側も「自分が納得いかないこと」「受け入れられないこと」「非常識なこと」は毅然と断るべきです。
それが自分の身体と尊厳と財産を守ることにつながるからです。