緊急避妊薬について考える
昨日、こんな記事がネット上に上がっていました。
【性暴力を考えるvol.91】どう考える? “予期せぬ妊娠”と緊急避妊薬
「加虐嗜好の変態S男が性暴力を語るな!」
なんて批判を受けるかもしれませんが…。
今回、この番組を観て感じたことを記事にしてみたいと思います。
読者諸兄のご意見なども承れましたら幸いです。
Table of Contents
予期せぬ妊娠は誰にでもある
現代の技術で「100%避妊が可能」という避妊法は女性用内服薬(ピル)だけですよね。
コンドームなどを使って避妊をしたとしても完璧な避妊ができるわけではありません。
つまり、「予期せぬ妊娠」というのは性暴力やレイプだけでなく、避妊を心掛けている人でも「誰にでもあり得る事象」という点を認識する必要があります。
アフターピル
アフターピル(緊急避妊薬)は72時間以内に飲んで80%の確率で避妊できるというものです。
100%完璧な避妊方法ではないかもしれませんが、それでも、アフターピルを飲めるのと飲めないのとでは安心感も結果も大きく違ってきます。
性暴力やレイプによる被害だけでなく、避妊の失敗も含めて、安心できる選択肢があった方が望ましいのではないかと私は考えています。
また、中絶手術の問題点もあります。
中絶手術の結果、妊娠しにくい身体(人によっては妊娠できない身体)になる女性もいます。
尊厳ある新しい命を人工的に絶つという倫理的な問題もあります。
中絶せずに出産する場合でも問題点はあります。
望まない妊娠から望まない結婚につながる女性もいます。
シングルマザーとして困窮する母子家庭もあります。
このように、幾多の問題を生じる「望まない妊娠」を防止する策の1つとして、アフターピルは一定の効果があると感じるのです。
反対者の理由
こうしたアフターピルの薬局での販売に反対する人たちがいます。
NHKの番組では日本産婦人科学会の前田副会長という人物が登場し
「若い女性に対する性教育、避妊を含めてちゃんと教育してあげられる場が少ない」
「じゃあ次も使えばいいや…という安易な考えに流れてしまうことを心配している」
と主張していました。
私はこれに強い違和感を覚えました。
厳しい言い方をすれば
「安易なSEXをしている人のために被害女性が更に苦しむことになる」
ということです。
男女問わず、安易なSEXで安易に妊娠する人は、アフターピルが解禁されていようがいまいが、安易なSEXをして安易な妊娠をするのです。
それがその人達の価値観であり倫理観だからです。
そういう「安易な人たちがいる」ということを理由にして、性暴力やレイプの被害者などが「危険性の高い中絶しか選択肢がない」ということに疑問を感じるのです。
厳しい言い方をすれば「一部の不心得者のために、身の安全を守る手段を奪われている」と感じてしまうのです。
安易な行動をする人は自己責任の自業自得で別に構わないのです。
安易な行動でないにも関わらず、不幸にして妊娠する可能性を背負わされた女性に、身を守る選択肢も必要だと感じるのです。
副作用の問題
ピルが解禁にならない理由として「副作用」が挙げられます。
片頭痛、吐き気、嘔吐、浮腫、膣炎などもあるとされます。
一部には「血栓症」「発癌性」「子宮筋腫」などの可能性を指摘する人たちもいます。
ですが、こうした副作用も「緊急避妊」のための一過性のものです。
血栓症や発癌性、子宮筋腫などの副作用は長期常用した場合に「可能性がある」とするもので、必ずしも生じる副作用ではありません。
それよりも、人工中絶をすることによる物理的な母体への影響の方が何倍も危険なのではないかと感じるのです。
「産業」としての「中絶」
現在、日本国内では16万件以上の「人工中絶手術」が行われています。
人工中絶手術の平均的相場は15万円程度と言われ、その市場規模は240億円にも達します。
現在、人工中絶を行える母体保護法指定医は日本国内で4,800軒程度です。
つまり、指定を受けた婦人科は1軒当たり年間500万円もの収入を人工中絶手術で得ている計算になります。
アフターピルの普及によって人工中絶手術が激減してしまうと、こうした婦人科の収入は激減し、死活問題となってしまうのです。
こうした「産業としての人工中絶手術」という構図があるために、婦人科学会は「何かと難癖をつけてアフターピルの普及を妨害している」という説もあります。
このような「一部の拝金主義者のために女性が危険に晒される」という構図はあってはならないと感じるのです。
まとめ
望まない性行為や避妊の失敗は誰にでも可能性があるものです。
それだけに「望まない妊娠」につながらないための選択肢として緊急避妊薬(アフターピル)の市販化が望ましいと私は考えています。
アフターピルの市販化に反対する人たちもいます。
・安易にSEXして安易に妊娠する人が増える。
・副作用の危険性もある。
・人工中絶産業の妨げになる。
安易なSEXで安易に妊娠する人は自己責任です。
そういう人たちのために、本当に苦しむ女性が更に負担を強いられるのは本末転倒です。
副作用の危険性も、薬事法で定めて薬剤師が正しい知識を身に付けて処方すればいいのではないでしょうか。
一時の副作用のために緊急避妊薬を禁じるより、人工中絶を経験して身も心も一生の傷を負う方がはるかに損害が大きいと感じます。
人工中絶を産業としている人たちも、女性の身体を傷つけて金儲けをするのではなく、真に女性の身体に負担を掛けない妊娠回避法を認めるべきなのではないでしょうか。
そんな風に感じたニュースでした。